不動産相続の手続きを進める前に!流れや費用、注意点を知っておこう
みなさんこんにちは!
静岡市の不動産会社、ライフステーションの小田です。
不動産を相続したら相続登記の手続きが必要となりますが、相続から手続き完了まではどんな流れで行われているかご存知でしょうか?
今回は不動産相続における一連の流れをご紹介します。
不動産の相続手続きを進める前に知っておくべきことや、相続登記に必要な手続きや書類、相続時に確認しておきたい税金や特例についてもお話しますね。
不動産相続の手続きを進める前に、知っておくべき流れや注意点
不動産相続の手続きをスムーズに進めるには、何について確認を進めていくか、遺産の分割方法はどうするか、どのような点に注意が必要かなど、事前に知っておくことが大切です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
不動産相続の手続きに進むまでの流れ
親や親族が亡くなって不動産の相続が発生する場合、まずは遺産の内容や遺言の有無、誰が相続人かといったことを確認する必要があります。
相続人の確定
亡くなった被相続人の遺産を相続する権利がある人は誰か、何人いるのかを確認します。
法定相続人は配偶者と血族です。
子、孫、父母・祖父母、兄弟姉妹……と相続順位があります。
遺言書の確認
被相続人が遺産相続について遺言書を残している場合は内容を確認しましょう。
公正証書で作成している場合は、公証役場の「遺言検索システム」で調べることができますよ。
自筆で作成し保管してある遺言書の場合は、家庭裁判所で内容を確認します。
勝手に開封してしまうと無効になるので注意しましょう。
遺産の内容を調査・確認
相続財産の内容や総額を調査・確認します。
現金や預貯金、株式、家、土地などのほか、ゴルフ会員権や生命保険、美術品や貴金属なども相続財産です。
借金や債券などマイナスの財産もすべて把握が必要です。
遺産の分け方を決める
相続人のうち、誰がどの財産をいくらずつ相続するか決定します。
遺言書があるなら遺言に基づいて決定しますが、遺言書がない場合や遺言書があっても内容に納得できない、記載のない財産があるといった場合には相続人全員で話し合って分割内容を決めます。
これを「遺産分割協議」と言います。
相続人が複数人いる場合の不動産の分割方法
現金や預貯金と違って、家などの不動産は「単純に人数で割って分割」というわけにはいきません。
不動産を複数人で相続する場合の相続方法は下記の4つがあります。
現物分割
相続人の1人が不動産をそのまま相続し、他の相続人は同じ価値のある現金や株式など別のもので相続する方法です。
不動産以外にも相続財産がある場合に選択が可能です。
代償分割
相続人の1人が不動産をそのまま相続し、他の相続人には相続分の金銭を支払う方法です。
相続財産が不動産しかないが、不動産を手放したくない場合などに選択されます。
等価分割
不動産を売却して、その売却金を相続人で分ける方法です。
売却により現金となるので、単純に分割することができます。
ただし、不動産売却で課税される「譲渡所得税」が相続人全員に課税されます。
共有相続
複数人の共有財産として相続することも可能です。
ただし、その後不動産を売ったり貸したりしようと思った時には名義人全員の承諾が必要で、後々もめる原因になりかねない相続方法です。
遺産の相続内容や分割方法を決定し、遺産分割協議書を作成したうえで、相続手続きに進みます。
相続放棄や相続税申告期限に注意
不動産の相続手続きそのものには期限がないのですが、相続放棄や相続税の申告・納付には期限があるので注意が必要です。
相続放棄は相続開始から3ヵ月以内、相続税の申告・納付は相続開始から10ヵ月以内となります。
相続財産の内容を確認しなければ相続放棄をするべきか判断できませんし、相続内容によっては相続税分の現金を自己資金で用意しなくてはいけないケースも。
相続税は現金にて一括納付が必要で、申告や納税が遅れた場合は延滞税がかかってしまいます。
また、被相続人が生前に給与や年金収入、不動産収入などがある場合は、相続人により被相続人の準確定申告が必要となるケースもあります。
その場合は被相続人の死から4ヵ月以内が期限です。
給与所得があり源泉徴収が行われている、高額の医療費を支払っていた場合においては、申告により還付を受けられる場合があります。
還付のみの場合は遅れても問題はありませんが、納付が必要な場合で申告が遅れると加算税や延滞税が発生してしまうので気を付けてください。
不動産の相続登記で必要な手続きや用意する書類、費用を紹介
不動産の相続が決まったら、相続登記の手続きを行います。
いわゆる「不動産の名義変更」です。
【相続登記に必要な書類】
- 相続登記申請書
- 被相続人の戸籍謄本(除票)
- 被相続人の住民票除票
- 相続人全員分の戸籍謄本
- 相続する人全員分の住民票
- 相続する人全員分の印鑑証明書
- 固定資産評価証明書
- 遺言書または遺産分割協議
戸籍謄本や住民票などの取得には、1部数百円程度の手数料が必要です。
それぞれの住所の役所で取得します。
必要書類をそろえ、不動産の住所を管轄する法務局へ登録免許税の登記申請書と合わせて提出します。
登録免許税額は「不動産の固定資産評価額×0.4%」。
金融機関を通じて現金で納付し、登記申請書に領収書を貼り付けます。
法務局へ持参して提出するほか、郵送やオンラインでの申請も可能です。
申請が受理されると1~2週間後に家の権利書が発行され、これをもって相続登記が完了します。
相続登記の申請は自分で行うことも可能ですが、準備する書類も多く手間がかかりますので、司法書士などの法律の専門家へ依頼することをおすすめします。
司法書士へ相続登記の手続きをお願いした際の費用は5~15万円程度が相場です。
不動産相続をする場合に確認しておくべきこと
不動産の相続手続きで損をしないために、他にも知っておくべき知識が何点かあります。
まず忘れずに確認しておきたいのは相続税について。
仮に相続財産が不動産だけで現金の相続がなかったとしても、相続開始から10ヵ月以内に相続税を現金で納付しなくてはいけません。
相続した不動産の評価額によっては、思いもよらない高額な相続税となってしまうことも。
同居していた家と土地を相続したけれども、その相続税を払うために家を売却せざるを得なくなったという悲劇も起こり得ます。
このような事態を防ぐために、基礎控除や特例が制定されています!
相続税の基礎控除
相続税は不動産のみではなく、遺産の総額において発生する税金です。
この課税対象となる資産の総額に対し、基礎控除額の方が多いと相続税の支払いが不要となります。
基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で算出します。
実際は算出した結果、支払い不要となるケースが多いです。
小規模宅地等の特例
生計を共にしていた親族から居住用や事業用の土地を相続した場合、条件を満たす土地に対して相続税を引き下げる特例です。
- 特定居住用宅地等:限度面積330㎡まで80%減税
- 特定事業用宅地等:限度面積400㎡まで80%減税
- 特定同族会社事業用宅地等:限度面積400㎡まで80%減税
- 貸付事業用宅地等:限度面積200㎡まで50%減税
不動産の相続から一定期間内の売却に対しても、譲渡所得税の軽減につながる特例があります。
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
不動産を相続してから3年10ヵ月以内に売却した場合、支払った相続税から一定額を不動産の取得費用に加算することができるという特例です。
譲渡所得税は、不動産を売って得た利益(譲渡所得)に対して課税されます。
譲渡所得は売却金額からその不動産の取得や売却にかかった費用を差し引いて計算するため、取得費が大きくなれば譲渡所得が少なくなり、その分譲渡所得税を下げることができます。
また、土地のみを相続する場合は「分筆相続」といって、ひとつの土地を複数の土地に分けて相続することもできます(分割相続の一種)。
分筆相続は法務局で土地を分ける手続き「分筆登記」をしてから、それぞれの土地について相続登記を行います。
ただし、あまり広くない土地を複数人で分筆登記すると、敷地が狭いために用途が限られて価値が下がってしまう可能性があります。
さらに平等に分割したつもりでも、土地の値段は周辺環境や景気などによって変動する可能性がありますので、将来の価格変動についても考慮しながら検討するようにしましょう。
まとめ
- 不動産の相続手続きを進める前に必要な準備
不動産の相続手続きを進める前に、まずは相続人の確定、遺言書や相続財産の確認をし、相続人全員で話し合って遺産の分割方法を決定しましょう。不動産の分割では現物分割、代償分割、等価分割、共有相続などの方法があります。
- 不動産の相続手続きは専門家への依頼がおすすめ
不動産の所在地を管轄する法務局で行います。申請は自分でも可能ですが、必要書類が多いので司法書士などの専門家へ依頼することをおすすめします。
- 不動産相続時には相続税に注意
現金の相続がない場合でも、相続税は相続開始から10ヵ月以内に現金で納付が必要です。基礎控除や特例もあるので事前に確認しましょう。居住用や事業用の土地を相続した場合に相続税が減税される特例もあります。
静岡で不動産売却を検討している方は、ライフステーションへお気軽にご相談ください!